この1年くらい携帯電話の世界においては、5Gのことが大きく取り上げられています。
殆どの人は、携帯電話の最新の方式ということぐらいは分かっているかもしれませんが、5Gって何なの?というとなかなか返事が出来ない人が多いと思います。
ここでは、5Gとは何か、さらに5Gまでの日本の携帯電話の歴史についてわかりやすく
説明したいと思います。
5Gとは
5Gとは5th generationの略で、この言葉自体、日本だけでなく世界共通の言葉です。
敢えて日本語に略すと、第五世代移動通信システムのことです。
移動通信システムというのは、略語には含まれていませんね。
5Gは、一般に3つの特長があるといわれています。
1)今まで以上に高速
2)今までよりも遅延が少ない
3)同じエリアで今までよりも沢山の端末を繋げられる。
こういう特長がなぜ実現したかは、別途説明するとして、ここからは
日本の携帯電話の歴史についてお話しします。
第1世代:アナログ携帯電話の時代(1979年~1991年)
実は今は携帯電話という名前ですが、元々は携帯電話のように、外で電話できるものとして自動車電話という名前の機器がありました。
出来たのは、1979年です。今のNTTドコモなどの前身である日本電電公社が開発、運用を始めました。
その当時は無線機の大きさ、重さがとてもヒトの手に持てるようなものではなく、
無線機自体は自動車のトランクルームの中に設置し、アンテナは自動車の外に付け、
ハンドセットが車内にあるというものでした。
日本電電公社と共に共同開発に参加したメーカが日本電気と松下通信工業の2社でした。この2社はその後2G~3Gのころ、ずっとライバル企業でありましたが、4Gの時代、スマホの時代になって2社とも仲良くシェアを落とし、現在は2社とも日本の携帯電話事業のメインからは撤退した形になりました。
この自動車電話自体、2G以降とは違って、アナログ携帯電話といって、音声をデジタルに変更しない方式でした。ただし半導体技術の進歩によって、小型化が図られるようになり、ついに1987年ころ、携帯電話が世の中に出ました。ただしそのときの携帯電話はショルダーホンといって本体は大きく重く、人が歩き回って使えるようなものであはありませんでした。
やっと今の携帯電話に近いなぁという形で現れたのが1991年のNTTドコモからのMOVAでした。それと並行して、PDCといわれる日本独自のデジタル携帯電話の開発が進められていました。
2)第2世代 (1992年~2001年)
この時代になって、携帯電話が非常に普及しました。PDC方式の日本独自のデジタル携帯電話が普及するようになりました。
普及した理由はいくつかあります。
-第1世代のアナログ携帯電話と比べて音質が良くなり、また接続率も向上しました。
(第1世代の時は、接続失敗したり、通話が途中で切れるということが頻繁に発生しました)
-初期費用、毎月の基本料金、通話料金などが安くなりました。きちんと覚えていなくて、かつ
今よりは高いのですが、イメージとして第1世代は初期費用が10万円くらいで、
毎月の基本料金+通話料で1万円以上するのが当たり前でしたが、
第2世代になって、初期費用も数万円になり、毎月の基本料金+通話料金も
1万円台位になったと思います。
-1995年にサービススタートになったパーソナルハンディホンシステム(PHS)が
外で気軽に通話出来る電話として普及する見込みだったのが、あまりにも使えないエリアが 多くて、クレームが多発し、普及が途中で止まりましたが、PHSの反面教師として 携帯電話が注目されるようになりました。
-音声通信だけでなく、インターネット接続も出来るようになりました。その先陣を切ったのが 1999年NTTドコモで始まったiモードというサービスでした。
3)第3世代(2001年~2012年)
通称3G。第1世代と第2世代では当時は1Gとか2Gとはあまり言いませんでしたが、
この第3世代からは3Gという言い方が一般的になりました。
ワイドバンドCDMAという技術によって、第2世代と比べて、通信速度が向上したのがポイントです。
またこの3Gから、やっと世界の中でほぼ統一された規格として策定されたので、
もちろん追加料金はかかりますが、海外に持っていた場合も同じ携帯電話機で通話やデータ通信が出来るようになりました。
3Gは、途中で3.5Gとか3.9Gという名前で進化し続けたのがポイントです。
ここでの進化というのは、通信速度がどんどん向上したと理解してください。
そして第2世代でのインパクトのあった出来事がiモードでしたが、
第3世代でのインパクトのあった出来事は、なんといってもiPhoneの登場でしょう。
iPhoneは、まず2007年の夏に、米国で販売されるようになりました。
そのあと、日本語対応等が必要だったのでしょう。日本では1年以上遅れて
2008年の末にソフトバンクから発売されました。
iPhoneの登場によって、携帯電話の世界は大きく変わりました。
iPhoneに対抗するものとしては、Googleが提唱したAndroidというOS(オペレーティングシステム)を用いたスマートフォンがiPhoneを発売するApple以外から次々と発売されたのも第3世代の終わりごろからでした。
4)第4世代(2012年~2020年)
さらに通信速度の面で進化を遂げたのが4Gです。ただし、3Gから4Gは今までの1Gから2G、2Gから3Gに比べると変化点が少なく、3G~4Gの流れの中で、連続的に進化を遂げたといえます。
3Gの最後のころに出た方式を3.9Gと良く言っており、別名称ではLTE(Long Time Ebolution)と言っておりますが、このLTE自体3Gと4Gの懸け橋になるような方式であり、今現在の方式を唱える場合は、4G/LTEという言い方が一般になっています。
5)第5世代(2020年~)
始めのほうで説明した通り、いよいよこれから5Gの時代です。
高速通信、低遅延、多数端末収納の3つが5Gの大きな特長です。
6)1Gから5Gまでの進化を表にしてみました。
主な特長 | 特徴 | 通信速度 |
1G アナログ携帯電話 | 自動車電話→携帯電話へ | アナログの時代 データ通信無し |
2G デジタル携帯電話 | 携帯電話普及期 iモード登場 | 28.8Kbpsが最高 |
3G ワイドバンドCDMA | 電話→データ端末へ iPhone登場 | 当初2Mbps→20Mbpsに向上 |
4G | MIMO技術の進化 更なる高速化、MVNO事業者台頭 | 50Mbps~1Gbps |
5G | ビームフォーミング技術 高速化に加えて、低遅延、多数端末 | 10Gbps |